
クライアントとweb制作者で生じる認識の‟ズレ”
よく制作の現場ではあることですが、クライアントとweb制作側での認識のズレがとんでもなく大きな修正を生んでしまったりすることがあります。サイトの制作時だけではなく、部分的な修正の依頼案件の際にも発生して、「修正の修正」みたいなこともわりとあったりします。
今回はそんな両者で生じる認識のズレを“闇”と称してお話しします。
まず、闇の根幹から言ってしまうと、次のような根本的認識の違いがあります。
- クライアント → webサイトをチラシやポスター・雑誌などの「紙媒体」の延長と思っている
- 製作者 → webサイトはそれ固有の特徴を持つメディアと捉えている
上記の認識をお互いが抱えたまま制作に入ってしまうと、下記のようなトラブルに陥ってしまうことがよくあり、クライアントも後から説明を受けてもなかなか素直に受け入れられません。「webサイトは紙媒体とは異なり、色味や書体などが見る人の端末によって左右されます」なんて後から言われても気持ちの整理が付かないわけですね。
また、具体的なトラブルをあげるなら
- コンテンツとなる文章や写真が用意されていない
- デザインと実装された見た目が異なる
- スマートホン用ページまで手が回らない
- 制作スケジュール立てが曖昧
などがあり、これらトラブルが大きな修正を生み出します。そして、この闇を簡単にまとめると下記の2通りになります。
- お客様(クライアント)自身のwebサイトについての理解が浅い。
- 制作側が事前にwebサイトについてお客様(クライアント)に説明できていない。
とくに営業担当者やディレクターなどは、お客様に理解してもらいやすい言葉を選んでしまっているがために、認識のズレがそこでも生じて予期せぬ事態を招いてしまいます。
webサイトと印刷物の違いをクライアントに整理して伝える。
webサイトの黎明期は雑誌やポスターなど印刷物のデザインの影響などを大きく受けている部分がありました。しかし、現在はデザインも「web」というカテゴリーで独自の成長を遂げました。
ここで、webサイトと印刷物との違いを簡単にまとめたものをご覧ください。
webサイト | 印刷(配布) | ||
---|---|---|---|
性質 | 情報の伝え方 | 双方向的 | 一方的 |
ユーザーに情報を伝える方法 | 文字、画像、映像、音、色やフォントで表現 | 文字、画像、色やフォント | |
公開まで、変更、修正 | 即時 | 一定期間&時間が必要 | |
所有 | 企業、個人 | 特定の発行者 | |
表現の違い | 表示 | パソコン、ブラウザ | 紙とインク |
フォント | デバイスに依存 | 印刷したフォント | |
色 | ブラウザに依存 | 印刷した色 | |
サイズ | デバイスのサイズに依存(スマホ、タブレット、パソコン) | 特定の規定サイズが存在する(A4、B5、はがきなど) |
|
その他の特徴 | ハイパーリンク | 引用紹介 |
まとめ
どうでしょうか?
webサイトはチラシやポスターなどの印刷物とは多くの点で異なることがわかります。特に制作側とクライアント側で共有すべき認識は、まず印刷物は一度印刷してしまったら修正はできませんが、見た目が異なることはありません。
そして、webサイトは、文字や簡単なデザイン変更は後からでも可能ですが、ユーザーが利用するデバイスにに依存し、すべてが同じデザインで表現されることはできないということです。
これらの認識をしっかりと共有することで、後々の制作&運用面が驚くほど合理的で意味のあるものになるでしょう。